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2010年10月 1日 (金)

今度引っ越すときは・・・

(今日は引越しの後日談を)
 
まあそんなわけで、9月のはじめに今の部屋に引っ越してきたわけだが、それまで住んでいた団地の退去日までにはまだ1週間ほどあり、引越し後も粗大ゴミの片付けなどでちょくちょく旧家に足を運んでいた。(ちなみに今の部屋とは歩いて5分の距離)

残暑の続くよく晴れた日、俺はひとり、がら~んとなった狭い2DKで片づけ。ゴミさえ出せばそれで文句は言われないのだろうが、俺は「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちで部屋を隅々まで掃除し、忘れ物がないかどうかを入念にチェックして回った。
 
風呂場とトイレ。「この風呂で毎日大騒ぎだったな、子どもたち・・・」「子ども2人ともこのトイレで固いウンチふんばって、俺がそれをここで眺めて拍手して・・・。おしっこできたらここにシール貼って・・・」

台所。「この狭い台所、強引に食洗機置いて、毎日毎日、ここで飯作って食器洗って、飯作って食器洗って・・・」

4畳の部屋。「この隅には埃を被ったギターケース。ここがいっつもカビるんだよな。ここにはパソコン、ここがギター。ここはヒナタのおもちゃ、ここはガチャガチャ系のガラクタ・・・」

6畳の部屋。「ここに布団敷いて、子どもたちは飛んだり跳ねたり、でんぐり返ししたり。ここがピアノ。テレビの裏もカビがね。・・・ご苦労さん(笑)。」

ベランダ。「日当たり最高のベランダ。毎日毎日洗濯物を干して、たまにCD聞いて。日曜は子どもが芝生で遊ぶのを眺めたり。ぼろぼろに日焼けした洗濯機、なんとかもったな。この景色、こっからの景色・・・」
 
なんだが胸がそわそわしてきた。部屋のあちこちを何度も何度もしつこくチェックするたび、思い出が溢れてくるのだ。部屋の一隅一隅、畳の一枚一枚、四方八方の壁、天井、押入れ、窓際の柱、サッシのレール、カーテンレール、「え~、こんなところにも?!」という部屋中の空間という空間360度すべてに、びっしりと思い出が宿っていた。

仕事や保育園に行く妻や子どもたちと違って、俺は365日、24時間、ずっとここで過ごしていたのだ。隅々まで掃除して、部屋中を縦横無尽に駆け回って家事と育児、ギターとブログ・・・少しは仕事も(笑)。思い出というより、まだまだリアルな残像がはっきりとそこにたたずんでいた。

つい先日まで、ほんの数日前まで、ここで普通に暮らしていたのに・・・
 
 
数日後、いよいよS団地、最後の日。部屋の片付けは全部終わり、あとは鍵を管理人のポストに入れるだけ。

夜7時、「最後のお別れ」ということで家族4人、何もない部屋を訪れた。各部屋で記念写真を取り、「いよいよだね」なんて言っていると、案の定というか何というか、息子(6歳)がシクシクと泣き出した。

俺はなるべく明るくお別れしたかったので、娘(2歳)と部屋中を追いかけっこしてみた。夜の空き家で娘はきゃっきゃと喜んでくれたが、息子はしゃがみ込んで泣き止もうとしない。もらい泣きしそうな妻に抱っこされながら、シクシクはやがて号泣に。俺もまた胸がそわそわしてきた。

引っ越しが決まってからずっと言っているのだが、息子は震える声で「今度引っ越すときは、絶対にここね」とまた言っている。
 
妻は涙を浮かべながら「わかったよ」とか「ヒナタは優しいんだよね」とか言って慰めている。

俺も何か声をかけてやりたかったが、口を開くと自分が号泣してしまいそうで、むっと黙り込むしかなかった。

1時間経っても状況は変わらず、まるっきり埒が明かない。飽きてきた娘は「そろそろ帰ろぉ!」なんて言いながら兄ちゃんをガンガン蹴っ飛ばす始末。まるっきり空気を読んでない。(笑)

手持ち無沙汰な俺は、部屋のあちこちをもう一度うろうろと歩く。思い出が溢れてくる。2歳直前の息子とここに引っ越してきた頃のこと。その後この部屋で繰り広げられた喜怒哀楽の数々・・・ もう限界だ。俺も完全に泣いてしまった。出来ることなら大声を立てて号泣したいほど心は揺れていたが、そこはやはり親としての照れだろうか、持ってきたタオルで涙を拭いてこらえた。

そのとき俺が息子に言いたかった言葉はこうだ。「そうだよな、この部屋、最高だったよな。最高に幸せな暮らしだったよな!」

息子にしてみれば、なぜ引っ越すのか訳が分からないのだろう。物心ついてからからずっと、何不自由なく、楽しく暮らしてきたのに、まだまだちゃんと住めるのに・・・

息子の心の叫びを感じながら俺も思った。「そう、まだまだ住めるよな!」 毎日イライラして歯を食いしばりながら「もう限界だ!」なんて思ってたけど、実はまだまだ楽しく暮らせたのだ。まさに幸せの真っ最中だったのだ。

ちょっとフライイングだったかな。抜けかけの歯を強引に引っこ抜いてしまった痛み。もっとぐらぐらになるまで待てば、笑ってる間にポロリと抜け落ちたのかもしれない。

でもしょうがない。人生は前にしか進まない。お別れはいつかは来るものだ。

結局、息子は9時頃まで2時間近く泣き続けたが、最後は近くのスーパーで玩具(or お菓子)を買うってことで観念し、空っぽの部屋に力なくバイバイした。

馴染みのスーパーに行って小さな玩具を買った息子は、一旦泣き止めばケロリとしたもの。子どもってのは、この立ち直りが素晴らしい。(笑)

一騒動終えた帰り道、家族4人、チャリで秋の夜風に吹かれた。団地を通り過ぎながら、俺は心の中で 「さようならS団地。最高に幸せだったよ」 と。

そして、息子と自分に誓った。

「これからは新しい部屋で、もっともっと幸せな思い出を作ればいいんだよ」
 
 
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ちょっと今回は、かなりの自己満足ですね。(照)
ま、いつもそうですが。(笑)
最後まで読んで頂いた皆さん、ありがとうございました!
 

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コメント

うんん、分かる その気持ち。
感動しましたよ。

投稿: 天ちゃん | 2010年10月 3日 (日) 06時09分

私も、何度か引っ越しを経験していますので気持ち理解出来ます。
私も感動しました。

投稿: 小林 雅也 | 2010年10月 3日 (日) 22時23分

>天ちゃん、小林さん
いつもありがとうございます!
ほんと今回はまったく自分のために書いたのですが、読んでくれた人にちょっとでも感動が伝わったなら最高に嬉しいです。

投稿: takuya | 2010年10月 4日 (月) 11時27分

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