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2013年3月28日 (木)

主夫について今思うこと

ここ数年、ブログ内外で思索してきた「主夫」という生き方...
最後に、今まで書かなかったこと、そして今現在の俺の心境をエラそうに語っておこう(笑)。


主夫に至る経緯

結婚前、俺は無職、妻はすでに現在の安定した仕事に就いていた。別に「養ってもらおう」とは思わなかったが、「養わなくていいな」とは思った(笑)。何かしら文学的・芸術的なことをしたいと思っていた俺にとって、この「養う責任がない」というのは好都合。「いぇ~ぃ、男女平等、最高~!」と思った。

さらに、そういうヒモ的な生活というのは誰にでもできるものではない。カッコいいと思った(参考記事:『ズレはじめたのは』)。自分の平凡さが嫌で、大学時代から少しはバカをやっていたが、まだまだアーティストとしてのインパクトが足りないと思っていた俺は、「よし、これで俺もいよいよ個性が出てきたぞ」とほくそ笑んだ(バカ)。

ところが結婚後、なぜか人生で初めて就職してしまった俺(意気地なし!笑)。「作家の卵」と結婚する覚悟だった妻は、肩すかしを食ったようで納得がいかなかったという。ただ幸い、入った会社はとても「グレー」で、俺は5ヶ月間、力尽きるまで働いた後にめでたく退職(苦笑)。その後、中高生の頃に好きだった英語を仕事にしようかと思って勉強を始めた。たぶんこのときが俺の事実上の主夫生活の始まりだろう。

週に1~2回、某英語学校に通い、週に2~3回、夕方から塾講師のバイト。それ以外はずっと家で勉強していた。家事はたぶん 7:3 で俺がやっていたが、主夫というよりは「苦学生」「浪人」という気分だった。生活費はほぼすべて妻持ち。俺はバイト代から2~3万を家計に入れていた。

3年ぐらいかけて通訳ガイドの資格と英検1級を取ったが、それと就職能力とは別(苦笑)。積極的に外で働く気になれない俺は、塾講師を続けながら速読や右脳開発、経済、微分積分の勉強などに一時的にハマっていった。傍から見たら完全に暇人(笑)。思えば妻は俺のこの宙ぶらりんな状態によくぞ無頓着でいてくれた...

このとき33か34歳。結婚して5、6年。不思議なことに、この頃まで「家族計画」のことはまるで考えていなかった(計画好きな俺なのに)。それほど英語に(自分探しに?)夢中だったのだろう。ふと我に返った俺は「子どもを作らなくては!」と思った。

で、子どもが生まれると、俺の迷えるモラトリアム生活は一変。「俺の人生どうしようか」という悩みは一気に吹き飛び、無我夢中で息子のお世話に励んだ。楽しかった。大学時代以来、久々に訪れたキラキラと輝いた日々。間違いなく人生最良のときの1つだったろう。

9ヶ月で妻が職場復帰してからは、いよいよ家事・育児は 9:1 で俺の担当に。こうなると「これはどう見ても主夫だろぉ?」と思った。妻との会話で「主夫」という言葉が出るようになったし、このころ始めたパンクバンドブログのプロフィールにも「主夫」と書くようになった。

ただ対外的には「塾講師」ということにしていた。バイトだろうが週2回勤務だろうが、「塾で英語を...」「へ~、すごいですね~」「いやいや大したことないんです...(汗)」と。

その後、子育てのしやすさや子どもを保育園に入れる関係で、在宅の産業翻訳者になったが、これもどんなに収入が少なかろうと、「家で翻訳を...」「へ~、すごいですね~」「いや~大したことないんです...(汗)」と。

たまには「まあ、主夫みたいなもんです(笑)」と添えることもあったが、決して「みたいな」を外すことはできなかった。今でもそうだ。何というか、意気地なし!なのである。

やがて2人目(娘)が生まれると、そんな「しょぼい」仕事でさえ、育児との両立が難しくなった。俺の悪い癖なのだが、本来簡単なはずの仕事にも200%全力投球してしまうのだ(苦笑)。首は凝るし、ストレスも溜まる。そして人生のお悩みも溜まってゆく...

そんなとき、ネットで初めての主夫友ムーチョさんに出会った。主夫のオフ会に参加し、初めて同類に会えたあの安心感... そのとき、俺ってやっぱり主夫なんだな~と実感した。その後、主夫の家族会にも行き、個人的な主夫仲間も何人かできた。こうなるともう、身も心も完全に主夫だ(笑)。

去年の暮れには英語の仕事も完全に辞め、晴れて完全な専業主夫に格上げ(笑)。ブログ村でもお馴染みの?押しも押されもせぬ正真正銘の主夫になったのである。


主夫としてのスタンス

もし誰かに「主夫ってどう?」と聞かれたら「いいですよ~」と答えたい。「大変でしょう?」と言われても「いや、楽ですよ、ははは(笑)」と。人にもよると思うが、俺にとっては仕事をするよりも主夫のほうが100倍楽なのだ。何より家庭内では、めいっぱい自分が出せるのが嬉しい。

仕事内容も簡単だ。今は生協の宅配や Cook Do がある。食器洗浄機もある。子ども手当てもあるし、保育園や幼稚園も充実したカリキュラム。ありがたい時代だ。

楽することに罪悪感を持つ必要はない。人類は楽をするために文明を発達させてきたのだから、それが叶った今、楽できる人から楽をすればいい。わざわざ苦しい思いをすることはない。

一般社会(俗世)ってところは嫌なこともしなくちゃならないし、ストレスも多いと聞く。その点、社会と一線を画して自分の好きなように生活を組み立てられる主夫は、ある意味、新たな特権階級(笑)。まさに「隠れて生きよ」(by エピクロス)。人々の盲点をついたニッチで幸せなポジショニングなのだ。

まあ実際、あまり打ち解けていない相手(今後も打ち解けそうにない相手)に「主夫ってどう?」と聞かれたら、「まあ何かと大変ですよ...とほほ(苦笑)」と答えるかもしれない。あまり羨ましがられるのも何なので、そこらへんは微妙にお茶を濁すだろう。

しかし願わくば、近い将来、「みんな主夫になりなよ~♪」と堂々と勧められるようになりたいのだ。


主夫の辛いところ

これはもう精神的な問題に尽きる。

俺は決してマッチョな性格ではなく、どちらかと言えば心根の優しい家事・育児には向いているタイプ。しかしそんな俺ですら、何かこう、自分の中の「男」の部分がうずくのだ。DNAの問題なのか、男社会の歴史的な重みなのか、とにかく、どんなに日々の暮らしに幸せや感謝を感じても、自分の中で100%は満足できない。闘争本能、自己顕示欲、向上心、成功願望... 「うぉぉぉ~、やったぜぇ~!happy02」という瞬間をいつも夢見てしまうのだ(笑)。

主夫には猛烈なストレスはないが、この手の欲求不満にじわじわと蝕まれることはある。やはり常に、精神衛生には気を使っていなくてはならない。

お金にならなくてもいい。どこかで、何かで、存在感を示したい。一流を目指したい。バカな男は一生「快楽」を求めてあがき続けることだろう。
 

あとは、日常生活の中で「仕事仲間」がいないのもちょっと寂しい。ごくたまに主夫仲間と会うことはあるにしても、それは特別な「同業者交流会」であって、日常的に誰かと協力したり相談したりするわけではない。誰からも怒られない代わりに誰からも褒められない、ノープレッシャー・ノーゲインだ。

今は妻が同僚や上司の役を一手に引き受けてくれているが、本来なら主夫は、子どもの学校や地域と協力関係を築くべきなのかもしれない。でもそんな立派な主夫は俺には荷が重い。そもそもそれは、俺が目指したカッコいい主夫像なのだろうか...

ただ、日々の生活圏内で本当の自分を出せないというのは辛い。理想としては、正々堂々「主夫です」と宣言した上で学校や地域には深入りせず、なのに「ちょっと変わってるけど良い人」ぐらいの高評価を得られれば... 甘いだろうか。

ちなみにママ友は... 勿論いません!(笑) 


主夫にも優遇措置を

子育て主夫になって8年半。恥ずかしさはしょっちゅう感じるが、俺が男だからということで特に差別や不便を感じたことはない。何か社会的な運動を起こそうと思っているならいろいろ感じるのかもしれないが、引きこもり的に主夫をしている俺からすれば、日本は実に平等な良い社会だ。

聞くところによると、主婦と違って主夫は遺族年金がもらえないらしいが... まあ、そのうち何とかなるだろう(ならない?笑)。

当たり前だが、男が家事・育児をすることは違法ではない。その点、勝手に路上ライブをやるよりは、よっぽど気が楽だ(笑)。恥ずかしさが襲ってきたときには「え?何が悪いの?」という気持ちで男女平等の権利を振りかざしていこう。

そんなわけで、社会に対しては特に文句はない。しかし主夫にとっての主な職場は家庭。主な交渉相手は妻だから、妻に対しては賃上げや待遇改善を要求する(笑)。

かつて女性の社会進出が進むにつれて「セクハラ」が問題になったように、男性の社会撤退を進めるなら、それなりの配慮や優遇措置が必要ではないか。「男のプライドを傷つけたら罰金一万円」とか... もちろん判断は傷つけられたほうの基準による(笑)。


ダメな主夫

俺の知る限り、主夫ってけっこう学歴が高い。よって意識や能力も高い場合が多い。あるいは一芸に秀でていて、主夫であることを除いても十分魅力的だったりする。俺も一時はそういう知的な兼業主夫を目指したのだが...

今どきの企業社会は厳しく、昔はお気楽だったサラリーマン(正社員)にも高い意識と能力が求められるようになってきた...

悩みがちでのんびりした俺のような人間は、どこに行っても劣等感だ。せめて主夫の世界は、大した能力がなくても楽しくやっていける世界になってほしい。

よくいるダメなサラリーマン。口を開けば仕事の愚痴ばかり。いつも辞める辞めると言いながら、辞める勇気も展望もない... それに相当するダメな主夫がいたっていいじゃないか、と思うのだ。みんながみんな優等生にはなれない。愚痴りながらも適当に、悲喜こもごも生きていける世界。

もし将来、主夫の裾野が広がってゆくとすれば、そういう「ダメ人間」(決して悪い意味ではない)が噂を嗅ぎつけて集まってくるときだろう。


ぶっちゃけ俺も...

主夫、できるなら辞めたい(笑)。

子どもの頃のように、また多くの男性が今もそうしているように、自分は仕事や勉強(好きなこと)に没頭し、身の回りのことはすべて「オカン」がやってくれるのなら、それに越したことはないからだ。

何かで一発当てたい。妻が仕事を続けるというのなら、お手伝いさんを雇おう。ついでに運転手も...

子どもたちとの時間は減ってしまうが、代わりに週末は美味しいものを食べに行こう。年に1度は旅行へ行こう...

バカな主夫の妄想は止まらない(笑)。


今、振り返ってみても...

結婚前に思っていたイメージと比べて、「こんなはずじゃ~」ってことは1つもない。思った通り、やはり俺の選んだ道はカッコよかった。

たまには落ち込むこともあるが、それは誰のせいでもない。俺の心がしぼんでいるせいだ。俺が堂々と心を開きさえすれば、世界は笑って俺(主夫)を迎えてくれる。

人とちょっと違ったことを言ったりやったりしながら、「俺って面白いな~」と心底自画自賛できる、そんな理想の暮らしは、すぐそこにある...


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         (最終回まであと5回!)

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